「光」原作小説(三浦しをん)の感想!いまだに答えがでない小説

映画「光」の原作小説の感想

三浦しをんさんの小説「光」が映画化されるというので。

その感想を書いていきます。

 

「光」は、秘密を抱えたまま生まれ育った島をでることになった信之(主人公)と美花。

大人になって別の生活をしている二人でしたが。

同じく島出身の輔が、過去の秘密を利用しようとしたため。

信之は美花を守ろうとするサスペンス小説です。

この小説を初めて読んだ時から。

またこの記事を読むために読み直した現在も。

いまだに答えが出ないことがあるんですよね。

 

そんなこともふまえつつ、「光」の感想を書いていこうと思います。

サスペンス小説なので、最後のネタバレはしないようにしようと思いますので。

その点、ご注意ください。

 

映画「光」の原作小説の感想

いろんな人物の視点から描かれているのに

「光」の大きな特徴として、1つの小説内で視点変更が行われること。

信之の視点は、主人公なのに、多分半分以下なんじゃないでしょうか。

それ以外は、信之の妻の南海子。

あるいは、輔の視点になっていました。

 

頻繁に視点が変わると、読みにくくなる小説も結構あります。

でも、「光」の場合には、そんなことを全然感じなかったんですよね。

おそらく、人物名が書いてある頻度が高いのと。

視点の主が見えている世界っていうのがイメージしやすいように書かいている作者の力量が大きいんでしょね。

それぞれ、初めての南海子の視点のときに、誰のことを言っているのかわかりづらいところがあったのと。

信之と輔が穴を埋めようとしている場面で、数行だけ信之の視点ではなく、輔の視点に見えたところがあって。

そこだけは、他のところとは違っていましたが。

でも、全体を通して見ると、やっぱりすごく読みやすいんですよね。

 

また、全体をとらえにくくなったりもしてませんでしたね。

視点変更に伴い、大きく場面が変更したり。

また、時間が遡ったりするときもあったんですが。

それでもです。

 

おかげで、ストレスなく読むことができました。

内容的に、他の三浦しをんさんの作品とは、ちょっと違った雰囲気ではあるんですよ。

でも、この読みやすさや、全体のとらえやすさをみていると。

やっぱり三浦しをんさんの本だなーって思っちゃいますね。

 

信之の描き方が絶妙

「光」は、結構ドロドロした内容が、序盤の途中からずっと続いていきます。

人間の醜さや弱さみたいなのが、これでもかって出てきますからね。

ヒロインの女性たち、美花と南海子という綺麗な名前なのに^^

でも、そんなにドロドロ感を感じないんですよね。

そんなに重くないというか。

 

それは、その加害者でもあるけど、メインの被害者でもある信之が中身をなくした人物で。

ドロドロの中にいても、感情の上下がないだろうなって感じるから。

本当なら激流みたいなところにいるはずなのに、静かなんです。

 

信之の感情が唯一動くとしたら、それは美花に関することで。

彼女のために行動しているときは、多少熱くなっていたりしたと思ったんですけど。

そんな美花から拒絶の言葉を聞いたときも、冷静でしたからね。

多分、人としての大事な部分が、すこんと抜け落ちているんでしょう。

 

そして、この中身を失ってしまった人間の描き方が上手いですね。

こういう人物をあまり上手ではない人が描くと、人というよりかは。

コンピューターとか3Dのキャラみたいになることが多いんですよね。

感情が全くなくなっているかと思いきや。

急にバグが起きたかのように、変な言動してきて、人間味が全くない感じで。

でも、信之は、人としての大事な部分が抜け落ちていても、やっぱり人間ぽくて。

感情に起伏がないだけで、行動が人間らしさを失ってるわけではなく。

また、信之らしいなと思う行動をとっていっています。

でも、この匙加減って、絶対に難しいはずなんですけどね。

この辺、絶妙ですね。

 

なんでなんだろうね

でも、「光」に疑問がないわけではないんですよ。

特に大きいのが2つありまして。

 

1つは、信之らしい行動をとっていると上で書きましたが。

それは作品内で書かれていることだけで。

作品には書かれていない部分には、1つ変わった行動があります。

それは、信之はなんで南海子と結婚したんだろうかということ。

南海子の名前の綺麗さなどにも言及がありますが。

大人になった信之にとって、南海子と結婚する必要性が感じられないんですよね。

結婚しようと決心するほどのパワーが信之に感じられませんしね。

結婚後の家族への無関心とか見ていると。

なので、信之が結婚したことには、ちょっと違和感を感じてしまいます。

 

もう1つは、なんでタイトルが「光」なんだろうということ。

結婚の方は、流されたのかなとか、まだそれっぽい理由をつけることができますが。

こっちは、本気でわからない。

最後に希望があるような小説でもなく。

むしろ、信之は美花、美花は芸能界、輔は信之と、それぞれに光をもっていたけど。

大人になって、そんなもの暗闇に落ちてしまった。

そんな感じさえする小説ですからね。

なので、ずっと「光」の意味がわからないままなんですよ。

ひょっとしたら、かつてあった光が失われたという皮肉ってつけたものなのかもしれませんが。

三浦しをんさんって、結構ストレートなタイトルつけることが多いし。

本当にそうなのかって考えると答えがでないんです。

このタイトルに関しては、最初に読んでからずっと。

 

終わりに

というわけで、小説「光」の感想を書いてきました。

いやー、読みやすいのに、大きな疑問をずっと残してくれる小説でしたね。

なので、映画化はちょっと期待しているんです。

ひょっとしたら、「光」ってつけた意味が分かるかもしれないと思って。

映画と小説の比較とかしたら。

楽しみですねー。

以上、「光」原作小説(三浦しをん)の感想!いまだに答えがでない小説、でした。

三浦しをんさんの新しいのが読みたかったら。

彼女も参加しているアンソロジーもおすすめです。

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