「この世界の片隅に」だけじゃない!「夕凪の街 桜の国」も読んでみて

最近「この世界の片隅に」が、人気になっていますね。

みんなが注目しているクラウドファンディングを利用した映画作りという話題性。

あまりメジャーではないけれど、一度読んだら心にささる本を書く。

こうの史代さんの作品ですから。

内容も興味深いものがありますからね。

人気になるのも、うなづけます。

そして、「この世界の片隅に」を読んだ人や映画を見た人のツイッターとか見ていると。

他の本も読んでみたいという方が、結構いたので。

だったら、「夕凪の街 桜の国」を読んでほしいなーと思い。

この記事を書いています。

ネタバレほぼなしで。

 

ミステリーとかではないので、別にネタバレしても問題ないのですが。

ネタバレしたところで、価値が全く減らない内容の本ですし。

でも、できたらこの「夕凪の街 桜の国」に関しては、いろんな人に読んでもらい。

そして、長く広まっていって欲しいので。

ネタバレは、本当に必要なところだけにとどめておきますね。

その点だけ、ご注意ください。

 

「夕凪の街 桜の国」とは

まず、「夕凪の街 桜の国」ですが。

本のタイトルこそ、「夕凪の街 桜の国」となっていますが。

厳密には、「夕凪の街」という話と、「桜の国」という話は。

舞台も主人公も違っているんです。

 

「夕凪の街」は、昭和30年の広島を舞台にした漫画で。

「桜の街」は、平成17年あたり(子供の頃は、平成元年ぐらい)の東京・広島を舞台にした漫画なんです。

「この世界の片隅に」が、昭和19年の広島を舞台にした漫画ですから。

その後の影響が描かれているわけですね。

出版の順番的には、「夕凪の街 桜の国」の方が先ですけどね。

 

主人公に関しては、「夕凪の街」は、広島で生まれ育った平野皆実が。

「桜の国」は、皆実の姪にあたる、石川七波が主人公になっています。

 

2人とも、時代・場所からいって、ご想像通りなんですが。

皆実に関しては、衝撃的な体験をし。

心優しい性格が災いして、自分だけが幸せになっても良いのだろうかという考えをもっているため。

感情の動きをトレースしきるのは難しいと思います。

 

一方、七波に関しては、比較的一般的な人物なので。

自己投影とかするのは、七波の方がしやすいかもしれませんね。

結婚の心配される、普通のアラサー女子ですし。

まぁ、父親に、自分の合コン仲間を紹介しようかと、冗談を言われるのは。

ちょっと普通じゃないかもしれませんけど^^

 

「夕凪の街 桜の国」の感想

現在も終わっていない

そんな2人が主人公なわけですが。

「夕凪の街」は、皆実が恋人を作ったり、結婚することに、忌避感を覚える点。

最後の独白の内容が、すごく印象的な内容になっています。

でも、時間的に言って、まだまだ影響があってもおかしくないかなという時期なんだろう。

そう思ってしまうんですよ。

昭和30年ですからね。

感情が揺さぶられるのですが。

同時にどこか他人事のように思えるわけです。

 

でも、「桜の国」では、「夕凪の街」から50年もたった時代の話。

基本的には、コメディ的な感じで進みますが。

そんななのに、まだ影響が終わっていないことが描かれています。

影響が終わっていないことは、知ってはいました。

でも、本当に知っていた”だけ”だったというのを、痛感しましたね。

 

これまでは、影響を受けているグループがあり。

そのグループの中の1人とかが、テレビとかにでて話をしているぐらいにしか考えていなかったんです。

つまり、影響に苦しんでいる人の、顔が見えておらず。

個人なんて意識していなかったんですよね。

多分、私と同じく、他県の生まれで、祖父母も広島とは関係ない。

そういった人の多くが、同じように感じているんじゃないかなと思うんですよね。

 

でも、七実という架空のキャラを通してですが。

個人を意識することができるようになり。

そして、個人が見えてくると。

その直面している問題の大きさも見えてくるようになってきました。

そうすると、漠然とした問題ではなく。

より具体的な、まだまだ終わっていない問題として、とらえることができるようになったんです。

 

「夕凪の街 桜の国」は導入

「夕凪の街」だけで終わった場合。

ヒドイ、可哀そうといった単純な考えしか浮かんでこなかったように思います。

いっても、現在の人間からしたら、過去の話ですし。

また、自分の家族にも関係がない話ですからね。

どうしても、他人事のような感想しか出てきません。

 

でも、「桜の国」とセットになることで。

深く深く考えさせられるんです。

七波や、その母の京花が、明るく元気で。

それを見れば見るほど。

それでも、様々な問題がまとわりついてくるだ。

60年たっても終わってないのか。

というか、60年ぐらいじゃ終わってくれない問題なんだという風に、意識させられ。

そして、自分のスタンスをどうしていけばいいのか。

そういったことまで、考えることになるんです。

 

この考えさせられるというのは、非常に大変です。

これまでだったら、可哀そうとかだけ言っておけばよく。

知らない、どこか遠い所の問題ととらえておくこともでき。

すごく気楽に過ごせたんですから。

それをわざわざ考え込み、ニュースなどを見るたびに意識せざるをえなくなって。

ちゃんと時間をとって、自分はどうしていこうかなど、真剣に考えなければならないんです。

労力は、いったい何倍、何十倍になることやら・・・

 

でもまぁ、私は考えさせられるようになって良かったかなとは思っています。

今後、自分がどういう立場にたつのか。

どういうスタンスで行動するのかなんて、まだまだわかりませんが。

でも、同じ国に住んでいる人を、スルーしないですむ。

それは結構大きな収穫だと思うので。

 

まぁ、それも今後どういう風に考えるかによるんですけどね。

まだ考えるという道を一歩進んだだけですもん。

でも、その一歩は間違いなく「夕凪の街 桜の国」によって、もたらされたものですね。

 

その他の感想

ストーリーに関してもう1つだけ。

上にも書きましたが、七波や、京花を明るく元気に描かれていますが。

悩みをもつのではなく、そのようなにしたのは、天才的だと思うんですよね。

彼女たちの性格と、問題との重さとのギャップが激しく。

より鮮明にうつりますし。

また、それと同時に、問題がどこか遠くにあるのではなく。

本当に日常に溶け込んであり続けるものなんだというのが。

言葉で説明せずに、行間から伝わってきますから。

 

後、ストーリーとは関係ないのですが。

「夕凪の街 桜の国」は、背景の描写が好きなんですよね。

いらないところでは本当になにも書かず。

普段は、手書きで細かいところまで書き込む。

だけど、あくまでキャラを際立たせるために描いているだけなので。

いらないところと、いるところのメリハリがついていますし。

また、その手書きの雰囲気が、すごく哀愁を醸し出していて。

 

終わりに

というわけで、「夕凪の街 桜の国」を読んだ感想を書いてきました。

初めて知ったのは、もうかなり前なんですが。

そのときも、こう思ったんですよね。

「学校の図書館に1冊ずつ置いてほしい」って。

だいたい「はだしのゲン」が置かれていますが。

「はだしのゲン」に負けず劣らず、素晴らしい本ですから。

特に、現代編にあたる「桜の国」に関しては、現在の問題を直視するうえで。

より勝っていると思いますしね。

そこまで、いかないなら。

せめて、広まって、いろんな人に読んでほしいんですよね。

せっかく「世界の片隅に」で、こうの史代さんへの関心が高まっている今ですから。

この機会に、読んでくれる人が増えるといいなーと思っています。

以上、「この世界の片隅に」だけじゃない!「夕凪の街 桜の国」も読んでみて、でした。